ニールワン

ニールワン(NEI-L1)

日本で初めて「シワを改善する」医薬部外品として承認を得た成分、ニールワン(NEI-L1)(成分名:三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸Na)

 

ニールワンは、コラーゲンやエラスチンを壊す酵素「好中球エラスターゼ」の働きをストップさせることで、シワを改善します。

 

シワは、紫外線や乾燥などの外的要因によって真皮を支えるエラスチンやコラーゲンが壊れ、表情筋が繰り返し動くことによってシワが形成されます。
このときに微弱な炎症が繰り返されているのですが、ポーラはこの炎症部位に白血球の一種である「好中球」が集まり、好中球エラスターゼを放出することがシワの原因であることを突き止めました。

 

ニールワン

 

この好中球エラスターゼの働きをロックするのが「ニールワン」。
真皮成分を分解しようとしている好中球エラスターゼにニールワンがピッタリとはまることで働きを抑制し、真皮成分の生成と分解のバランスを整え、シワを改善します。

【シワができる原因】
1、紫外線や乾燥などの外部からの刺激によって皮膚内部で微弱な炎症が起こる
2、炎症によって真皮ではコラーゲンやエラスチンが分解される
3、その上で、表情などによって皮膚が繰り返し屈曲することでシワが形成される

誕生まで15年「史上初のシワ改善成分」

ニールワンを配合し史上初のシワを改善する医薬部外品として発売された「POLA リンクルショット メディカル セラム」は、2017年1月に発売開始し、9ヶ月で154万個を売り上げるほどの大ヒット商品となりました。

 

ニールワンは開発から販売まで15年間もかかるほど難産の成分でした。

 

2002年、ポーラが「シワができるメカニズム」の研究に入ります。

 

まず、シワのない場所とシワができた場所の皮膚の違いを徹底的に比較。
皮膚は、真皮成分であるコラーゲンやエラスチンによって支えられています。エラスチンが網目状に構成されるコラーゲンを束ねて肌のハリを保っています。シワはコラーゲンやエラスチンが衰えて皮膚を支えきれなくなった状態です。
シワ
シワ

 

研究開始から3年、シワを「傷」と勘違いして白血球の一種である好中球が集まってしまい、好中球エラスターゼを放出することにより、真皮を支えるコラーゲンやエラスチンを壊し、シワを深くしてしまうことが分かります。
ニールワン

 

なぜ好中球はシワを傷と勘違いし集まってしまうのでしょうか。それは、シワができたところに小さな炎症が起きているため、傷を治す働きのある好中球が集まってしまうから。この時に放出された好中球エラスターゼが真皮成分であるコラーゲンやエラスチンを過剰に分解してしまい、皮膚のハリ・弾力が低下しシワにつながっていきます。

【好中球とは】
5種類ある白血球の1つで白血球の約半数を占めアメーバのような形をしています。侵入してきた細菌を飲み込むことで、感染から体を守ったり、傷を治したりするのを助ける働きがあります。感染症にかかったり外傷を受けたりすると、好中球が増えて殺菌の効果を発揮します。そのときに放出される分解酵素が好中球エラスターゼです。

シワの改善に効果のある成分を探す段階になると、なんと5400種類の素材をひとつひとつ評価していきます。
すべての素材を評価し終わるのにかかった時間は3年。
通常の化粧品の開発は長くても2〜3年で商品化されるところ、POLAは素材選びだけで3年の時間をかけています。
ここで見つかったのが「ニールワン」
好中球エラスターゼにニールワンがピタリと収まることで、好中球エラスターゼの働きを抑えてコラーゲンやエラスチンの過剰な分解を抑制し、シワの改善を促します。

 

ニールワン

 

ニールワンを真皮まで届けるための研究にも時間がかかりました。
クリームに配合すると、クリームに含まれる水分によってニールワンが分解してしまい、役に立ちません。
試行錯誤ののち、水分を含まない処方にニールワンを混ぜ込む「ニールワン真皮浸透処方」を開発
この結果、ニールワンを肌に塗ると水分の多い肌の方へと吸い込まれるように浸透していき真皮に引き込まれ、効果を発揮できる処方が出来上がります。

 

やっと形になった「リンクルショット メディカル セラム」
2009年に厚生労働省に医薬部外品の申請を行います。
しかし、「シワを改善する」という医薬部外品が今までなかったため、厚生労働省からの問い合わせに回答し続けることを繰り返します。回答のために試験を行い、提出するデータを追加するために時間を費やすことになります。
そのような最中、2013年に発覚した美白化粧品による白斑問題によって、厚生労働省の審査は全てがストップしてしまいます。これにより、安全性の基準がますます厳しくなり、新基準の安全性試験を行うことになります。

 

こうして、やっと厚生労働省から「シワを改善する」医薬部外品として2016年7月に承認を得て、2016年11月に商品を発表。
2017年1月に発売すると、店頭での対面販売のみにも関わらず、たった1ヶ月で25万個を売り上げる大ヒット。
諦めていた人たちに大きな希望を与える美容液、それが「リンクルショット メディカル セラム」です。
2002年の研究開始から15年、ニールワンを配合した史上初で唯一の医薬部外品がやっと発売にこぎつけました。

 

  1. 真皮の炎症に好中球が集まり、好中球エラスターゼという酵素が分泌される
  2. 炎症部分に分泌された好中球エラスターゼの働きによって、コラーゲンやエラスチンが分解される
  3. シワの悪化を防ぎシワを改善するために、コラーゲン・エラスチンの分解を抑制する好中球エラスターゼの働きを阻害したい
  4. 5400種類の素材から好中球エラスターゼの働きを阻害する成分を探す
  5. 「ニールワン」発見
  6. 真皮に届ける技術を模索し、水分を含まない「ニールワン真皮浸透処方」を開発
  7. 効果や安全性の試験
  8. 厚生労働省に医薬部外品として申請
  9. 効果や安全性を証明するための追加試験
  10. 「リンクルショット メディカル セラム」発売

ニールワンの効果

日本香粧品学会の「抗シワ製品評価ガイドライン」に準じた検証にて、リンクルショット メディカル セラムと有効成分が入っていない製剤を12週間にわたり朝晩塗布し効果を評価したところ、シワグレード評価とシワの最大深さの評価で明らかなシワ改善効果をみることができました。

 

ニールワン

 

ニールワン

 

ニールワン

 

日本女性68名に1日2回、目尻に12週間塗ったところ、明らかなシワ改善効果を得ることが出来ました。

安全性

皮膚科医の監修の下、安全性を確認する試験も実施されています。
12ヶ月連用試験でも副作用は一例も認められず、安全であるとの判定が出ており、6ヶ月連用後の48時間閉塞パッチテストでも、陽性反応や副作用は見られませんでした。

 

新しい成分であるため、販売当初は対面販売のみとし、継続的に副作用などが出ていないことが確認できたため、2019年5月よりポーラ公式サイトにて通信販売も解禁されています。

 

ニールワンが配合された化粧品